「Ra97」って何がすごいの?照明の演色性が暮らしを変える理由
照明器具のスペックに「Ra97」と書かれていても、正直ピンとこない方が多いのではないでしょうか。「Raって何?」「80と97の違いは体感できるの?」——今回は、この数値が私たちの暮らしにどう関わるのか、科学的なデータとともに解説します。
Q:Raとは何の数値ですか?
Ra(演色評価数)とは、光源が物の色をどれだけ自然に見せるかを示す国際指標です。基準光(太陽光や白熱灯)の下での色の見え方を100点として、テスト光源がそれにどれだけ近いかをスコア化したものです。
正式にはCIE(国際照明委員会)が1974年に定めたCRI(Color Rendering Index)の一般的な指標で、R1〜R8の8色の試験色の平均値として算出されます。
簡単に言えば、Ra値が高いほど太陽光の下で見るような自然な色が再現されるということです。
Q:Ra80とRa97、そんなに違うのですか?
数値上は17ポイントの差ですが、体感的な違いは想像以上に大きいです。
台湾・国立成功大学の照明研究チームがJournal of Asian Architecture and Building Engineering(2020年)で発表した研究では、Ra80未満とRa80以上のLED照明を比較した場合、Ra値が高いほど空間の好ましさ(preference)、明るさ感(brightness perception)、活気(liveliness)の評価が向上することが確認されています。
具体的な生活シーンで比較すると:
食卓(Ra80 vs Ra97)
Ra80の照明下では、肉や野菜の色がどこか平坦に見え、食欲を刺激する鮮やかさが失われます。Ra97では食材の赤み・緑・黄色がくっきりと再現され、料理が一段とおいしそうに見えます。
子どもの学習机(Ra80 vs Ra97)
教科書の図版やカラーペンの色が正確に見えることは、学習効率に直結します。Ra97の光環境では色の識別がしやすく、目の負担が軽減されます。
身支度・メイク(Ra80 vs Ra97)
Ra80では肌の色が実際よりくすんで見えたり、ファンデーションの色味判断を誤ったりしやすくなります。Ra97なら自然光に近い色再現で、外出先との色の「ズレ」を防げます。
Q:Raだけ見ておけば十分ですか?
実は、Raには限界があります。CIEのRa値はわずか8色の平均で算出されるため、一部の色が極端に悪くても平均値に埋もれてしまうことがあります。
特に問題になるのがR9(鮮やかな赤色)の再現性です。一般的な青色LED+黄色蛍光体方式の照明はRa値が80程度あっても、R9がマイナスになることがあります。つまり、赤い色が正しく見えていないのです。肌の血色、肉の鮮度、赤い花の色——R9が低いと、これらがすべてくすんで見えます。
そこで注目されているのがIES TM-30という新しい評価規格です。
Q:IES TM-30のRfとRgとは何ですか?
IES(北米照明学会)が開発したTM-30は、Raに代わる次世代の色評価規格です。米国エネルギー省(DOE)のTechnical Reportでも推奨されており、以下の2つの指標を使います。
Rf(Fidelity Index / 忠実度指数)
Raが8色で評価するのに対し、Rfは99色の実在する色サンプルを使って評価します。0〜100のスケールで、100が基準光と完全一致。Raよりはるかに精密に「色の自然さ」を測れます。
Rg(Gamut Index / 色域指数)
色が実際の色より「鮮やかに見えるか(>100)」「くすんで見えるか(<100)」を示す指標です。100が太陽光と同等の彩度。Rg102なら、わずかに鮮やかに——つまり、色がいきいきと自然に見える状態です。
DMF Lighting社の解説によると、同じRa値でも光源によってRfやRgは大きく異なるため、TM-30を併用することで初めて光の質を正確に判断できると指摘されています。
Q:高いRa値を実現するには、どんな技術が必要なのですか?
一般的な「青色LED+黄色蛍光体」方式では、スペクトルに450nm付近の鋭いピークと500nm付近の「谷」が生まれます。この不連続なスペクトルでは、特定の色の再現性が犠牲になり、Ra90を安定的に超えることが難しくなります。
これに対し、紫光チップ+多色蛍光体方式では、紫色LED(約405nm)で複数種類の蛍光体を同時に励起し、可視光線全域にわたる連続スペクトルを生成します。RSC(英国王立化学会)の学術誌Inorganic Chemistry Frontiers(2022年)やScienceDirectに掲載された最新の論文でも、紫光励起方式が高い量子効率(PLQY 95%)と優れた熱安定性を持つことが報告されており、フルスペクトル白色光の実現に適した技術とされています。
liproが実現したRa97の意味
liproのシーリングライトはViolet Emitting Technology(紫光激発技術)を採用し、以下のスペクトル性能を達成しています:
- Ra97——8色平均の演色性で太陽光にきわめて近い
- Rf97——99色評価でも同等の忠実度を維持
- Rg102——太陽光よりわずかに鮮やかで、色がいきいきと見える
これは単にRa値が高いだけでなく、TM-30基準でも高品質であることを意味します。つまり、「8色だけうまく見せている」のではなく、あらゆる色が自然に見える光ということです。
425〜650nmの可視光線全域で太陽光との類似度94.86%を実現した連続スペクトルが、この高い演色性の基盤となっています。
まとめ:「照明を変えたら、部屋の印象が変わった」の正体
「模様替えもしていないのに、なぜか部屋が明るくなった」「料理がおいしそうに見えるようになった」——照明を高演色タイプに変えた人から、こうした声がよく聞かれます。
その理由はシンプルです。今まで見えていなかった色が、きちんと見えるようになったから。Ra97の光環境では、壁の微妙な色合い、木目のグラデーション、肌の健康的な血色——すべてが本来の色で再現されます。
照明選びで「明るさ」や「電気代」だけでなく、「色の再現性」にも注目してみてください。暮らしの質が、光の質から変わり始めます。
よくある質問(FAQ)
Q. Ra97 と Ra100 はどう違う?
Ra100 は太陽光そのもの。Ra97+ はそれに非常に近く、肌色や食べ物の色が自然に見えます。日常で違いを感じやすいのは Ra90 を超えるあたりからです。
Q. Ra が高いと、何が変わりますか?
料理がおいしそうに見える、肌色が自然に見える、図版やカラーペンの色が正確——など「色の見え方」が変わります。明るさ(ルーメン)とは別の指標です。
Q. lipro の Ra はどれくらいですか?
Ra97+(IES TM-30 では Rf97/Rg102)。太陽光に近い連続スペクトルで実現しています。
選び方の決め手はおすすめの選び方・決め手、ブランドの信頼材料はlipro の信頼と実績にまとめています。くわしい仕様は太陽光シーリングライトの製品ページをどうぞ。
参考文献
- CIE (1995). "Method of Measuring and Specifying Colour Rendering Properties of Light Sources." CIE 13.3
- Chen, H.W. et al. (2020). "LED lighting system for better color rendition space: the effect of CRI." Journal of Asian Architecture and Building Engineering
- IES (2020). "ANSI/IES TM-30-20: Method for Evaluating Light Source Color Rendition."
- U.S. DOE (2022). "Background and Guidance for Using the ANSI/IES TM-30." Technical Report
- RSC Inorganic Chemistry Frontiers (2022). "Efficient violet-light-excitable blue-cyan phosphor for full-spectrum lighting."
- The Electrochemical Society (2009). "Phosphors for LED-based Solid-State Lighting." Interface



