「LEDって眩しくない?」直視の不快感を軽減する、照明の光学設計とは
LED照明に変えてから「なんとなく眩しい」「ライトを直接見ると目が痛い」と感じたことはありませんか?実はこれ、照明器具の光学設計に原因があります。今回は、LEDの「眩しさ」のメカニズムと、それを軽減する設計技術について科学的に解説します。
Q:そもそもLEDが「眩しい」と感じるのはなぜですか?
従来の白熱灯や蛍光灯は、フィラメントや蛍光管全体から光が拡散して放出されていました。光源面積が大きく、輝度(単位面積あたりの明るさ)が比較的低いため、目に入る光が分散されて穏やかに感じられたのです。
一方、LEDは点光源としての特性を持ちます。わずか数ミリ角のチップから強い指向性を持った光が放射されるため、光源面積に対する輝度が極めて高くなります。HLLEDの技術レポートでも、「LEDは拡散処理やビームアングル制御がないと、厳しいグレアや不快な影を生みやすい」と指摘されています。
簡単に言えば、同じ明るさでも、光が出る面が小さいほど「眩しく」感じる——これがLEDの構造的な課題です。
Q:「眩しさ」と「グレア(UGR)」は同じものですか?
ここはよく混同されるポイントなので、整理しましょう。
直視の眩しさ(disability glare / discomfort glare)
照明器具を直接視界に入れたときに感じる不快感や眩惑。光源の輝度が高いほど強くなります。天井のダウンライトを見上げたとき、デスクライトの光源が直接目に入ったとき——日常生活で最も多く経験する「眩しさ」です。
グレア / UGR(Unified Glare Rating)
照明学会(IES/CIE)が定めた、室内照明システム全体の不快グレアを定量評価する指標です。ERCO社の技術解説によると、UGRは空間内のすべての照明器具の位置、輝度、視線角度を総合的に考慮して算出されます。オフィスではUGR≦19、精密作業ではUGR≦16が推奨されています。
重要なのは、この2つは別の問題だということです。現代の照明器具は光学設計の進歩によりUGR値は概ね良好ですが、直視の眩しさ——つまり照明器具を見たときの不快感——は依然として多くの製品で課題となっています。特にシーリングライトのような広い発光面を持つ器具では、光の拡散方法が直視時の快適性を大きく左右します。
Q:直視の眩しさを軽減するには、どうすればいいのですか?
解決のカギは「光の出し方」——つまり光学設計にあります。大きく分けて2つのアプローチがあります。
アプローチ①:拡散材(ディフューザー)を使う
LEDチップの前にPC(ポリカーボネート)などの拡散板を置き、点光源の光を面光源に変換する方法です。HitLights社の技術解説では、拡散材が光を均一に散乱させることで輝度の偏りを抑え、ソフトで均一な照明を実現できるとされています。
ただし、拡散板だけでは限界があります。拡散度が高すぎると光量のロスが生じ、低すぎるとLEDの「ツブツブ」が透けて見えてしまいます。
アプローチ②:光の発射方向そのものを変える
より根本的な解決策が、LEDの光を直接下に向けず、横方向や上方向に放射する設計です。
SFR Lighting社の解説によると、間接照明方式は光を天井面や壁面に一度反射させてから空間に配光するため、直接光が目に入ることがなく、視覚的な快適性が大幅に向上します。この方式では光源を直接見ても、高輝度のチップが視界に入らないため、不快な眩しさが生じにくくなります。
Q:「側発光」と「上面発光」とは何ですか?
一般的なシーリングライトの多くは直下発光(ダイレクトエミッション)方式を採用しています。LEDチップが下向きに配置され、拡散カバー越しに光を直接床面に向けて放射します。効率は高いのですが、カバー越しでもチップの輝度が高く、見上げたときに「眩しい」と感じやすい構造です。
これに対し、側発光(サイドエミッション)と上面発光(トップエミッション)を組み合わせた方式があります。
側発光:LEDチップを器具の側面方向に配置し、光を水平方向に放射します。Rina Technology社の技術資料によると、側発光方式は光源が直接露出しないため、反射と屈折を通じてソフトで拡散した光が生まれ、直接光によるグレアを防止して視覚的快適性が向上するとされています。
上面発光:LEDチップの一部を上向きに配置し、天井面に光を反射させてから空間に配光します。間接照明と同じ原理で、天井全体を大きな発光面として活用することで、極めて柔らかい光が実現できます。
この2つを組み合わせると:
- 直下方向の高輝度光が大幅に減少し、見上げても眩しくない
- 光が部屋全体に均一に拡散し、影が柔らかくなる
- 壁面・天井面からの反射光が主体となり、自然光の入る部屋のような雰囲気になる
Q:スペクトルの質も「眩しさ」に関係するのですか?
実は、光のスペクトル(波長分布)も眩しさの感じ方に影響を与えます。
一般的なLED(青色チップ+黄色蛍光体方式)は450nm付近に急峻なピークを持ちます。この高エネルギーの青色光は網膜への刺激が強く、同じルクス(照度)でも不快感を増幅させる要因となります。
一方、太陽光のようなフルスペクトル(全波長域で連続的な分布)では、エネルギーが特定の波長に集中しないため、瞳孔の過度な収縮が起こりにくく、同じ明るさでもリラックスした視覚体験が得られます。
つまり、光学設計(光の出し方)×スペクトル設計(光の中身)の両方を最適化することで、はじめて「本当に眩しくない光」が実現できるのです。
liproの「光の出し方」へのこだわり
liproのシーリングライトは、側発光+上面発光のハイブリッド光学設計を採用しています。LEDを直下に向けるのではなく、側面方向と天井方向に光を放射し、拡散・反射を経て空間全体に柔らかく配光する設計です。
さらに、Violet Emitting Technology(紫光激発技術)によるフルスペクトル光源(太陽光類似度94.86%)との組み合わせにより、光学設計とスペクトル設計の両面から「眩しさ」の根本原因にアプローチしています。
IEC 62471に基づくフォトバイオロジカル安全性評価では、最高ランクのRG0(免除クラス)を取得。これは「制限なく安全に使用できる」レベルで、子どもが天井のライトを見上げても安心な設計です。
まとめ:「明るいのに眩しくない」は、技術で実現できる
「LEDは眩しい」という印象は、LEDそのものの問題ではなく、光学設計の問題です。光の出し方とスペクトルの質を最適化すれば、十分な明るさを確保しながら、眩しさのない快適な光環境を作ることができます。
照明選びで「何ルーメン(明るさ)」だけを見ていませんか?同じ明るさでも、光の出し方次第で空間の快適さはまったく変わります。
特にお子さまの部屋やリビングなど、長時間過ごす空間の照明は、ぜひ「光の出し方」にも注目して選んでみてください。目にやさしい光は、暮らしの質そのものを変えてくれます。
よくある質問(FAQ)
Q. まぶしさ(グレア)を減らすには?
光が均一に拡散する設計や、光源が直接目に入らない構造を選ぶと、直視時の不快感が減ります。
Q. UGR とは?
不快グレアの程度を示す指標で、数値が小さいほどまぶしさが少ないとされます。
Q. フリッカーも関係しますか?
肉眼で見えないちらつきも目の疲れの一因とされます。フリッカーフリー設計が安心です。
選び方の決め手はおすすめの選び方・決め手、くわしい仕様は太陽光シーリングライトの製品ページをどうぞ。
参考文献
- ERCO. "UGR Method — Unified Glare Rating." Lighting Knowledge
- Scheir, G.H. et al. (2015). "Calculation of the Unified Glare Rating based on luminance maps." Building and Environment
- HLLED. "Do You Need A Diffuser For LEDs?" Technical Report
- HitLights. "The Power of Diffusers: Transforming Light for Enhanced Applications."
- SFR Lighting. "Direct vs Indirect LED Linear Lighting." Technical Guide
- Rina Technology. "The Difference Between Side-emitting and Straight-emitting LED Panel Lights."
- IEC 62471. "Photobiological Safety of Lamps and Lamp Systems."



